まだ夜が明けない暗いうちに東京を発ちました。長いトンネルを抜け、アクアラインを渡り、東京湾の反対側に向かいました。小高い山道をたどって、千葉県の中心のとある場所へたどり着きました。手がかりはすぐそこにあります。GPSが川の対岸を示しています。車を停め、水の流れに沿って歩きました。
どこかに橋や人の通った道、また、すくなくとも川が途切れる場所があると期待したのですが、川中を歩いて渡る以外に方法はないようです。靴、靴下、ズボンを脱ぎました。まるで夏のようです。川は深くはありませんが、足元が滑りやすく、水が氷るように冷たいです。
対岸に渡り、左右を見渡しました。残念なことに、何もありません ! 上にある樹に行き着くには、険しい山道を登らなければなりません。GPSがそこを指示しているのです。気乗りしませんが、登ることにしました。そんな上には樹など生えないように思えるのですが、そうでもないようです。
下から見ると、とても深く樹木で覆われているのが分かりました。ですが、この森林は松が点在し、商業利用のために植えられているのが明らかでした。というのは、すべての松が真っすぐで均等に並んでいたからです。無意味にGPSの信号を確かめましたが、見る限り目立つものは朽木の山だけです。私は1本の樹を探しました。果たしてあの樹でしょうか ? 石壁の古代村に迷い込んだみたいでした。ですが、ここに遺跡はありません。
森林の周りをあちこちと歩き回りました。そして、さらに上に登ると、猿の群れと小さな湖に出くわしました … しかし、ただそれだけです。あきらめかけた頃、この小さな橋が目に入りました。この橋には何か意味がある、そう思いました?
橋を渡ると、古い小道のようなものがあるのに気付きました。景色は変わり、森は輝いています。樺の木が立ち並ぶ、落ち葉で覆われた道を歩きました。すべてのものからはっきりと秋の匂いがします。
90度曲がると、再び景色が変わりました。夜明けです。光と影の戯れが素敵です。とても胸が高鳴りました。道の果てには、きっと何かがあると確信したからです。
ありました ! 追原村の古い墓です (黄和)。十数の家の墓があり、現在は放置されたままです。森の真ん中にある小さな廃村は、かつてとても活気があったに違いありません !
Google マップを見ると、信じられませんでした。追原は実際に森の、また、山の真ん中にあり、位置がよくわかりませんでした。いったいこの村はどこなのでしょうか ? 私は辺りを見渡しました。大きな地滑りがあり、村に直接行く道がもはや途絶えてしまったようです。
でこぼこの道を行き … やっと入口にたどり着きました ! 村は今では森の木々に隠れてしまっています …
… 地面から這い出る悪魔の手のように …
そう、これです ! 追原の大楓 ! やっとのことでこいつを捕まえました ! 実際に見つかるとは思っていませんでした。なにしろ、3回もあきらめかけているのですから。
追原の大楓
これが老木です。「廃墟の樹」と私は呼んでいます。小さな壁にくっ付いているようです。追原は1950年代末まで活気のある村でした。その楓は、村の中央にありました。村の主で、象徴、神、森の精霊、また、あそび場でもあったに違いありません。樹には村人みんなの物語の詰まった樹液が今も流れています。
その樹を眺め、1時間ほど過ごしました。近くにはこれといった目立つものは何もありません。薄い金属の板で出来た古い小屋と村の井戸があるだけです。井戸はぽっかりと大きな穴が開き、とても深く、危険です。
この地域は90年代にダム建設ですべてが沈むことになっていましたが、計画が地元住民の強いボイコットにあい、運よく、樹が残りました。
この古い楓の樹に登ってみようと思いましたが、思い直し、そのままにしておくことにしました。この美しい森でずっと静かに暮らせますように。
別の道を通り、帰ることにしました。時間をかけ、この樹の発見を味わいながら、歩みを進めます。樹に出会うことが長年の夢だったのです。また戻ってきます。
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