トトロタイムズの常連の皆は、私が廃墟病院の大ファンだとご存知だろう。廃墟の中でも特に好きだ。ヨーロッパにある巨大なからっぽの建物ではなく、私が好きなのは、人知れず、田舎の片隅で徐々に朽ちていく小さな木造のものだ。
私が最初に「 日本の廃墟病院」の記事を書いてからもう一年半も経ってしまったので、そろそろ更新する時期だと思った。是非一緒に、廃墟病院発見の旅へ出かけよう!
S診療所
有名な鉱山診療所の次は「S診療所」だ。この辺りは本当に美しい。比較的名古屋に近く、非常に古い寺と青みがかった照り返しが美しい川に挟まれた場所だ。蝉の鳴き声を聞きながら、日差しを楽しみ、水に足をつける、、、
古い診療所の中にいる。木の割れ目や、この古い建物を見ると、ここがすっかり時間に取り残されたような印象を受ける。廃墟ファンならだれもが、ここは廃墟セレブだと知っているが、それを鼻にかける感じはない。誰もいないこの静かな地で、この診療所はゆったりと朽ち続けている。
受付だ。小窓にそう書かれており(この小窓から薬剤師が薬を渡す)、すでにここがこの古い診療所の中心だと伺える。これは昔の薬屋のような感じだ ー 旧式の薬剤師 ー 以前時ジブリ作品で見た戦前のものみたいだ。日本の古き良き時代。
この部屋では、眼鏡をかけた医者がにこりともしないで歩き回っているのを想像して欲しい。死んでしまった患者の臓器を取り出して分析するのが大好きだ。そして夜になると、月の明かりと小さなオイルランプの灯火を使って、独自の薬を調合する。時には静かに、そして完全に集中して特別な薬草を使うこともある。こうやって出来たものは、必ずしも患者をすぐに治すために使われるとは限らず、往々にして実験的に使用してみて、その結果を観察したりするのだ。
この医師が調合に使う原材料は、現在では毒薬やドラッグと考えられているものがほとんどなのに、まだすべてここにそのまま残っている。誰でも、好奇心おう盛な動物(後から見せる)でも、アクセス出来るのだ。そして、絶対に、この部屋の片隅には古いバクテリアだって潜んでいるに違いない!実際のところ、ここはかなり良い状態で保存されており、こういうところが日本の都市探検の素晴らしいところだと思う。
今回の、この山の斜面に建つ廃墟の探索は、静かで落ち着いたものだった。ただ少しだけぎょっとしたのはこの人形の存在だ、、、しかし、時間を経たことで、この場所がより美しくロマンに満ちる所になったことは確実だ。
ただ、現在のこの診療所の邪魔者と言えば、血に飢えた蚊の大群で、我々は半分逃げそうになった!あの医者の魂が乗り移っているに違いない。ブルブルッ。素晴らしい場所なのに、住人がいないわけではないのだ!
ここですべて終わった後、今度は何かぴりっとしたものが欲しくなった。都合の良いことに、私の日本人の友人が新しく廃墟病院を見つけて来たのだ!その友達たちは「時間がない」ので行けないという。しかし私はとても興味があったので、彼らに代わって見に行くことにした。強く呼ばれている気がして、無視出来なかった。
K医院-勇者の診療所
友人たちと山に遊びに行った週末、上記の、日本人の友人たちに聞いた診療所に、回り道をして立ち寄ってみることにした。古い木板の色と、周りの生き生きとした木の緑との柔らかいコントラストが生えて、診療所はとても美しかった。周りを歩いてみたが、すべて閉まっていた。近所の人を訪ねてみることにした。ここの持ち主がまだこの村に住んでいるかも知れないし、近所の人が鍵を持っているという可能性もある。たまには、許可を得た上で中に入るというのも悪くはない。;)
白衣の日本人が登場:ここは別の診療所だ!そんな看板は何も見なかったと思うのに不思議だ、、、まあとにかく、その医師によると、廃墟診療所のオーナーは20年ほど前に亡くなり、その息子は東京に住んでいるという。あまり日本語はわからないので、まだその医師が話している間に歩き去り、古い窓をそっと開けようとしてみたら、、、窓はゆっくり開いて重いホコリが舞い上がった。話すのを止めたその医師は、非常に心配げに、かつ少し苛ついた顔で私を見て、すぐに窓を閉めるように言った。さっと写真を撮ろうとしたら、医師はますます機嫌悪く、顔をしかめて、怖がっているようにさえ見えた。この病院で何か変なことが起こったに違いないと感じた!いずれにしても、今日のところはこの廃墟診療所は終わりとすしかない。
その時に、次の週末の早朝4時に来ると固く決心した。その時間なら、太陽が昇るまでに時間が十分にあるし、なにより、この医師が起きる前の時間だ!
次の週末の夜、我々は今では幽霊屋敷に思えるこの古い建物に近づいた。クモの巣を慎重に避ける。ジョロウグモの黄色縞の腫れたようなからだはあまり心地よいものではない。遂に、例の窓の外に来た。誰も訪れたことのない古い病院だ。私の背後には、例の医師の窓がある。医師の寝室やトイレ、事務所まで、その窓の向こうに見渡せそうだった。怖い!絶対にどんな物音もたててはならない、、、
そっと窓を開けた。我々のマスクも、こんな凄いホコリには太刀打ち出来なかったが、少なくとも咳をせずにすんだ。急いで中に窓を超えて入る。床が重みで軋む。やった!中に入れた!中は真っ暗で、ホコリだらけだが、新しい場所を見つけたことで大興奮だ。
住宅と診療所を兼ねるのはかなり一般的だ。寝室や、日本風の台所、典型的な診療室、薬局等がある。ここにある薬は前出の小さな診療所より、かなり新しく、調合所もない。ここではすべてが比較的新しいので、日本の廃墟病院の「栄光のシンボル」とも言える、死亡した患者から採取した臓器のホルマリン漬けがない!それは私の暗い願いだったのに 😉
この家には、奇妙なことが1つある。寝室の天井からロープが垂れ下がっているのだ、、、実は、ここにいた医師の写真のすぐ横に、そのロープが写っている写真を撮って持っている。しかし、その写真を公開する勇気はない、、、この医師はここで命を絶ったのか?
もう一つ奇妙なことは、診療室中に細長い布切れがかかっていることだ。ここで何が起こったのだろう?残念ながら見当もつかない。いつの日か、誰かから説明を聞きたいものだ。
次は2階が我々を待っている。階段が闇へとつながる。誰が一番に上がる?じゃんけんぽん!負けてしまった。先に行くしかない!
実際に2階に上がってみると、下の階より明るくて、まったく怖くも面白くもなかった!古いラジオや細々したものが残っている位だ。医師の息子が多分2階に住んでいて、すべて片付けてしまったのだろう。以上がこの診療所の歴史だ。特にものすごく変わったものは無かったが、忘れがたい経験にはなった。この廃墟はアドレナリンの刺激にはなった。ここの謎に関しては、この場所の幽霊が守って行くのだろう。
S医院 (軍曹の診療所)
この診療所は信じられない場所にある。人が多く住む閑静な住宅街の真ん中なのだ。近くには寺や会社等もいくつかある。
そんなところに、この診療所はあって、ドアは開いていてお茶でも飲んで行かないかと通りかかる人を誘っている。不思議なことに、地元の人々は興味を示さない。その正確な位置の秘密も、それほど厳重に隠されていない。
我々は静かに侵入した。旅行者風の我々の風貌も、もし見つかった場合には、都合の良い言い訳になる。
一歩足を踏み入れると、この廃墟となった病院の重い空気に包み込まれた。 暑さ、蚊の羽音と腐ったようなものの臭いが混ざり合っている。この場所は – 他の所とは違って – ロマンや冒険に満ちているわけでも無く、謎もあまり無い。しかし、ここにはすべてが、それなりのかたちで、少しずつ備わっている。
ここには、暗く猥雑な雰囲気がある。少し荒らされた形跡もあり、汚い。この場所には、色々な話がたくさんあるに違いないし、地元の人はそんな話を知っているのではないかと思うが、縁起が悪いので話さないようにしているような気がする。
この建物の作りはひどく不格好だ。日本家屋なのだが、大きなコンクリート部分が増築されていて、この部分が診療室となっている。
しかし、この病院の興味をそそる場所は2階にある。かろうじて持ちこたえているはしご階段を上るのは、危ないので勧められないが、その甲斐はあった。2階には素晴らしいものがたくさんあったのだ!
きちんとラベルを付けた、それぞれの瓶には臓器らしきものが入っている。すべて、似た感じのものだ。しかし、これはいったい誰の、そして何の臓器なのか?まるで分からない。日本語で「ホルマリン」としか書かれていない。ラベルの右のほうには、この臓器が男性のものか女性のものかが記されている。ただ、人間の臓器にしては小さすぎるのだが、、、
それぞれの臓器をじっと観察していると、きっと腹がへってきた読者がいることだろう。でも、もうちょっと我慢してくれ!まだ2カ所残っているのだ。次はもう少し田舎に行ってみよう。
東伊豆町隔離病舎
今、伊豆半島に来ている。2つの山の間のうっそうと茂った森の中だ。「迷った」という雰囲気がある。遠く離れた所にある島で迷ったような気分なのだ。そんな場所で、我々はこのありえないような廃墟を見つけた。特にここの役目が理解出来ればなおさらだ。ここは天然痘患者用の隔離場所なのだ。天然痘患者を一般人から隔離してここに収容し、最期が来るのを静かに待つ療養所なのだ。
我々は瑞々しい緑の中を歩いている。日の光は美しいが、恐ろしい病原菌がまだあるかもしれないことを考えると、この場所の魅力が薄れる。ひょっとして、我々が菌を東京に持ち帰ってしまったとしたら?!?いや、落ち着いて、うわさ話をはっきりさせよう。自然界に存在する天然痘の菌は人体を冒すことは全く無い。菌は生身の身体でのみ生き続けることが出来る。寒さで鼻水くらいは出るかもしれないが、せいぜいそのくらいのものだ。
この大きな木製の獣の中に入って、部屋の中を探検する。あるのは、藁をしいたベッド、がたがたの窓(まだちゃんと残っている)、洗面台、その他の小物等だ。
他の病院とは違い、ここには何かが隠されていたり、衝撃的なことがあったりということはない。では、死んだ人々の霊がたいして取り憑いてはいないのだろうか?いや、今まさに、その霊達は我々の周りをさまよっているはずだ。見えないのが悔しい!いや、ちょっと待て。私には、霊が見える友達がいる、、、近いうちにトトロタイムスにその特別な能力を持つ友達とのインタビューを載せたいと思う。:P
美しい日、小さな楽園の片隅にある、憂鬱さをたたえる廃墟。ここで、幸せに息を引き取った人もいただろう、ということにして、にっこり微笑んで去ることとする。
白い病院(I病院)
最近、廃墟ファンの世界は、多くの廃墟病院の秘密が発見されたことで、騒然となった。これに関しては、近いうちに第三部を書くつもりだ。:) 重く暗い感じのは後にとっておくことにして、今回の記事は、とても気持ちのいい雰囲気の病院で終わりたいと思う。その名は、白い病院。
なぜ白なんだ?それは、この建物全体が昔は真っ白だったからだ。今でも、木の板に白いペンキが残っているのが見えるだろう。廃墟ではお決まりの「立ち入り禁止」のサインが貼ってあるだけでなく、ここには「建物が崩れる危険あり」という追加の警告までついている。もちろん、そういう危険はほとんどの廃墟ではあることがだが、明確に書かれているのを見るのは初めてだ。
今は、中からリポートしている。中に入るとすぐに目に入るのは待合室だ。ここには、美しい絵画や写真、医師の表彰状や賞等が飾られている。カレンダーは1992年のものだが、それ以前にこの病院が廃墟になった可能性もある。そして、ここには薬局がない。ということは、ここの医師は現在行われているように(日本ではそうだ)、患者には近所の薬局に行ってもらって薬を出すようにして、何パーセントかをとっていたのだろう。
この病院の面白いところは、ここに残されている様々な物である。少しの量ではない。大量の器具、医薬品、聴診器、顕微鏡、何百本もの注射器、古いお札(外国のお札まである)がつまった回診用バッグ、血液サンプル(顕微鏡スライドに入れられたまま)等、、、新米の医者でもすごく興味を持つだろう!
この病院は確かにひどい損傷状態にあり、崩壊が迫っているようだった。2階への階段は完全に破壊されており、建物全体を地獄へ道連れにしているようだ。それなのに、怖い物知らずの日本人の友人たちは、振り返りもせずに、上って行った。しかたなく、私も慎重に後に続いた。床ももうあまり安定していないので、我々は非常に気をつけて、一歩一歩進んだ、、、
この廃墟で最後に見つけたのは、なぜこんな組み合わせなんだと思わせる動物だった。キツネ?犬?フランケン博士さんの作品?誰か知っている人はいるだろうか?こいつも我々と同じ位好奇心旺盛そうだ。
太陽が沈み始め、この古い病院に夕日がしみ込んでくる。この人形は、我々には興味がないようで、かえってそのほうが良かった。まだ行きたい廃墟があるのだから、人形の魔力にひっかかっている時間はない。
今回の4つの廃墟病院、気に入っただろうか?
If you love haikyo, don’t miss my articles about Gunkanjima and Nara Dreamland, my two favorite ones.
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第3部 早く見たいです
この数々の静かな建物が
誰かに荒らされることがなく
時の流れで自然に朽ちてゆくことを
祈ります
4
2.5
5
1.5