263段の石段と千本近い朱色の鳥居が並び、目に焼き付く赤が印象的な太皷谷稲成神社。かつて津和野を「鬼門」から守るために建立されたこの神社は、朱色の鳥居が連なる視覚的な結界を作り出しています。ここは願い事も鍵も、あなたが本当に探していたものも忘れずに覚えていてくれる場所です。
千本鳥居とゾクッとする感覚

石段を上ると、263段の階段とほぼ千本の赤い鳥居が続きます。津和野の空気はすでに濃密ですが、ここでは苔や遠くの鈴の音が混じり、稲荷の独特の朱が漂います。その赤色は鼓動するように震え、あなたの網膜をやさしく染めていきます。
長いトンネルは約300メートル続く鳥居と約束の道。聖なる木の口の中に飲み込まれていくような感覚です。途中から電波は届きませんが、迷うためにGPSなど必要ありません。
山頂、儀式の静けさ
山頂に着くと、艶やかな屋根、鮮やかな柱、吊り下げられた灯籠がまるで丁寧に折り上げられた折り紙のように広がります。眼下には森林と丘の合間にミニチュアのような津和野の町が広がります。中央には巨大な鳥居が橋の上に立ち、まるで人と神の世界をつなぐON/OFFスイッチのようです。
稲荷はここにいます。少なくともその使いである有名な狐の彫像たちが身をかがめて潜んでいます。優しげな表情の狐もいれば、からかうような顔つきの狐もいますが、どの狐も訪れる人々を見守り、そして少しは楽しんでいることでしょう。
夜が神社を照らすとき
夕暮れが訪れると、すべてが一変します。提灯が一つずつ灯され、まるで誰かが星と三味線で演奏しているかのよう。赤いトンネルは燃えるように輝き、私たちは静止した蛍の川を進んでいきます。街の音は消え去ります。
願いごと、鍵、そして車
失くした物を返してくれると言われています。鍵や財布、思い出さえも。心を込めて祈れば、奇跡が起こる。ある見張り番はこれで切腹を免れたとか。鍵が失くなり、七夜祈った後に突然現れたそうです。それ以来、この神社は願いを叶えてくれると信じられています。そしてその伝説を裏付けるかのように、ここで使われる稲荷の字は豊穣の「稲荷」ではなく、成就の「稲成」です。失くしたものを取り戻し、不運を避けるとされる稲成の力は人間だけにとどまらず、車にまで及びます。タクシーやバン、軽自動車までもが静かに並べられ、事故を祓い清めてもらってから出発するのです。
赤と金のフィナーレ
太皷谷稲成神社は、山肌にしがみつく生きた舞台のようで、参拝者や好奇心旺盛な人、夢見る人たちの足音が絶えません。人々は朱色に惹かれて訪れ、目に見えないもののために長く滞在します。そして263段の階段を降りて帰るとき、同じ自分ではありません。願いごとや迷い…あるいは車のナンバーを近くの狐に預けてきたからです。どちらにせよ、また戻ってくると分かっています。特に鍵をなくしたときには。
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