Desolate Matsuo Mine: Abandoned Japan Sunset.
Decaying ruins of Matsuo Mine under a fiery sunset in Japan.

東北の廃鉱の恐ろしいほどの静けさ

窓ガラスが一枚も残っていないコンクリートブロックの廃墟をきつい冬の風がひゅーひゅーと吹き抜けている。この無造作に積み上げられた様なブロックは鉱夫の寮だった。

日本にある廃鉱の数々は都市探検家にとってはとても魅力的なものだが、その中でも選り抜きの場所にこんなに早く訪れる機会が得られるとは思ってもいなかった。今回の旅では多くの廃鉱がひっそりと眠っている東北地方に向かう。午前5時、冷たい風にかなり怖じ気づくが、日が昇る前にとにかく行くしかない。松尾の山の奥へと続く上り道を朝日が昇るように運転して行く。森の中では紅葉が始まっていて、鳥の鳴き声はほとんど聞こえなかったが勇壮な姿の鷹だけが優雅に空を舞っていた。

松尾鉱山

Tohoku Mine - Good Morning Matsuo

朝日の中を、松尾鉱山のまだ朽ち果ててはいないあたりを通り抜けて、よりひっそりした方向へ向かう。鉱山に近づくために一番良さそうな場所を探すためにその辺りをぐるぐる運転する。そして遂に車から降りると、雨が降って来た。

Tohoku Mine - Matsuo Mine

窓ガラスが一枚も残っていないコンクリートブロックの廃墟をきつい冬の風がひゅーひゅーと吹き抜けている。この無造作に積み上げられた様なブロックは鉱夫の寮だった。数多くの棟が建ち並び光景はまるで深い山奥に多くの巨人がたたずんでいるように見えた。我々は一つ目の空っぽな通路に侵入した。床はひび割れ、ありとあらゆる場所から植物が入り込んで来ていた。それぞれが好きに探検時間が持てるようにここから別れることにした。この場所は恐ろしく巨大なので待ち合わせ時間までお互いを見かけることは全くないままだった。

Tohoku Mine - To The Bathroom

約100年も前に使われていた施設を歩くと、歴史の中を歩いているんだと感じる。残念ながら残っているものは少ないが、友達がここで戦時中のポスターを見つけたと言っていた。しかし、どこに立っても周りが全て廃墟というところにいるだけでも凄いと思った。ドアもガラスも全く残っていないのでどの建物に入るのも至極簡単だ。

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Tohoku Mine - Autumn Leaves

是非屋根に上って、身を切る様な風をよけるために煙突の近くに座って、雨の止み間に太陽の暖かさを感じて欲しい。岩手の山々に空虚さがたちこめ、廃鉱の恐ろしい様な静けさを感じる。

Tohoku Mine - Ride the Concrete Monster

Tohoku Mine - Concrete in the Moutains

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施設からそう遠くはない場所に学校もあった。建物上部からぶら下がっている鉄板はうるさく軋んでいて、今にも落ちて来て誰かの首を切り取りそうだった。死ぬと言えば、この学校の体育館にあるバスケットボールのゴールで首つり自殺があったという、、、

Tohoku Mine - Matsuo Mine Room

Tohoku Mine - Gunkanjima

日中の太陽は寒さを追い払ってくれた。朝の凍てつく様な雨で濡れた身体も乾かしてくれた。こんどは尾去沢に来た。この銅山は1300年もの歴史を持ち、1978年に閉山された。しかしまだ多くの人々が働いている。残りの処理なのかもしれない。

尾去沢鉱山跡

Tohoku Mine - Osarizawa Mine

なるだけ人目につかないように気をつけて、急いでひと気のない方の草むらに駆け込んだ。この廃墟は本当に古く、元来の建物の形さえあまり判別出来ない。メインの「観光」スポットは山の麓にある二つの真っ青な沈殿池だ。九寨溝(中国、四川)にある、化学物質は入っていないがさらに真っ青な池のことを思い出した。

Tohoku Mine - Chemical Pools

多くの人々が訪れる様な場所で満足出来ない我々は、古い山に登り始めた。あたりには一体何なのかよくわからないコンクリートブロックがまだ転がっていた。ハイキング自体はかなり面白かったが、あまり何も見つけられなかった。尾去沢の廃墟は古すぎる上に(文句を言っているわけではない)近くを通る車がスピードを落とすたびに隠れながら、滑りやすく急傾斜の砂っぽい山を動き回るのは危なすぎた。写真を撮るにしても、もっと遠距離から撮った方が良い写真が撮れるので、丘の上から働いている人々を眺めた後は後ろ髪を引かれることも無く去ることにした。廃鉱の施設の眺めはまるで巨大なクモが黄色みを帯びた山をゆっくりとむさぼっているように見えた。

Tohoku Mine - Giant Tub

Tohoku Mine - Workers Union

Tohoku Mine - Experiences

最後の目的地は田老鉱山だ。良質の米の産地として名高い秋田に別れを告げ、我々のベースである岩手県に帰る。ドライブに時間がかかったのには驚いた。岩手県は大きいに違いない(実際に岩手県は北海道に次いで2番目に大きい)。

Tohoku Mine - Taro Mine in the distance

ここは1970年代に閉山になったが、メインの建物は巨大で、剥き出しだが緑でいっぱいだ。この辺りは過去には賑わいを見せ、住居用の建物や、映画を上映する劇場や、神社まであった。現在では明星大学の所有物となり、大学はここを宇宙線観測に使用している。

田老鉱山跡

Tohoku Mine - Taro Mine

Tohoku Mine - Orange Tubs

Tohoku Mine - Machine Hall II

Tohoku Mine - Machine Hall

廃墟になったあたりを静かに散歩した後は、誰もいないこの実験室のツアーをお勧めする。あまり科学的なタイプではない私にとっては、窓から何百本もの線が伸び出して来て床を這い、無数の奇妙な小さな機械へと広がり、さらにその横に鉱山から出る物質が溶けた化学物質の池があるという光景は、かなりの衝撃だった。鉱山の静けさを機械の鳴る音やパイプを流す音等が破っている。こんな環境の中で研究が出来るなんて、この実験室の生徒たちは廃墟好きに違いない。

Tohoku Mine - Tunnel

Tohoku Mine - Projector

Tohoku Mine - Meeting Room

Tohoku Mine - Army of Chairs

Tohoku Mine - Abandoned Bike

この記事では真のメッセージを伝えきれないと思う。東北の山々がもっと雄弁に語ってくれるだろう;その独自の言葉で完全に魅了されてしまうから。恐ろしいほどの静けさの中でじっと耳を澄ませば、風が過去の繁栄の話を囁いてくれる。

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はじめまして

Jordy Meow

私は日本在住のフランスの写真家のJordy Meowと申します。私は日本に来たり日本に滞在する外国人のために、風変わりであまり有名でない場所の情報を見つけたりシェアしたいと思っています。私は書籍を出版したこともございますし、現在は綺麗なガイドブックのシリーズを新たに準備しているところです。