木彫りの猫に囲まれた禅寺、あの世から伝わる伝説、そして嬉しさのあまり思わずニャーと叫びそうな私。
鳴くか鳴かぬか
山口の山間の小さな集落、棚田に挟まれた曲がりくねった道に、「猫を捨てる世界は滅びる世界」という不思議な看板が現れます。ここから旅は始まります。ようこそ、雲林寺こと猫寺へ。
入口には数十体の木彫りの猫が番をしています。凛々しい顔のものもあれば、いたずらっぽい表情のものもあり、すべての猫がじっとあなたを見つめます。驚きが落ち着くと、この場所が単なるキッチュな飾りではなく、400年以上の歴史を持つ本格的な禅寺であり、猫への深い愛情が表現されていることがわかります。
猫版ハチ公
17世紀、毛利輝元公が亡くなり、家臣の長井基房は主君に殉じるため後を追って亡くなりました。彼の愛猫は、主の墓前で49日間見守り続け、悲しみのあまりやがて命を落としたといわれています。その後、夜になると猫の鳴き声が響き、近くの僧が魂を鎮めるための儀式を行うと静寂が戻りました。この物語は「猫町」という地名とともに人々の記憶に刻まれています。
数百年後、山の中の小さなお寺・雲林寺で住職の角田慈誠さんがこの伝説に出会いました。猫好きだった彼は招き猫のコレクションを受け継ぎ、その一部を寺に飾り始めます。すると、旅行者からの寄贈や地元の彫刻家の作品など、次々に猫の置物が集まり、10年ほどでお寺は猫の聖地となりました。
スピリチュアルなゴロゴロ
雲林寺ではすべてが猫を語っています。絵馬、おみくじ、お守りには猫の足跡が記され、経典にはヒゲが描かれています。本尊は蓮の上に座った猫の仏さまが静かに鎮座しています。
壁一面に猫の人形が飾られています。猫の頭をした地蔵があちこちで微笑み、座った猫、物思いにふける猫、昼寝中の猫、跳びはねる猫など、数百体の木彫りの猫が畳の上に所狭しと並んでいます。
本堂の前には、大きな招き猫が両前足を上げて幸運と繁栄を招いています。その写真を待ち受けにすると運が良くなると言われています。運が良ければ本物の猫が挨拶に来ることも。訪れる人々は亡き猫を偲んで線香を手向け、祈り、瞑想し、微笑みます。ここは柔らかな笑顔に満ちた癒しの空間なのです。
猫が伝えるスピリチュアルな世界
ここでは説教はありません。猫を通じてメッセージが伝わります。住職の澄田さんはそれを理解しています。思いやりを伝えるには、心地よいゴロゴロに勝るものはないのです。像や壁画、お守りは単なる装飾ではありません。生者と亡者を結ぶ架け橋です。住職の目的は明確です。人々が猫に寄せる愛情を生かし、遊び心を交えて仏教の慈悲と静けさの教えを伝えること。毎日、亡き人々やペットの供養のために法要が行われ、仏陀と猫たちの優しいまなざしのもとで寺の精神的な使命が受け継がれています。
チェーンソー彫刻の名人・林隆雄さんが制作した木彫りの猫像や、著名なイラストレーターや漫画家たちが寄贈した猫の絵が壁を飾っています。コロナ禍には疫病退散で知られる伝説の妖怪アマビエの猫バージョン「アマビエ猫」の像も入口に置かれ、パンデミックから守ってくれると人々に希望を与えています。
ヒゲに包まれた泡
雲林寺はミステリアスでかわいい宝探しのような場所で、キッチュさと神聖さが共存する禅寺です。訪れる人を威圧することなく、優しく撫でてくれるような場所で、ヒゲだらけの世界に迷い込んだような不思議な中毒性があります。
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