奈良ドリームランド：夢の終わり

奈良ドリームランドは奈良にある廃墟となった遊園地です。このサイトで何度か取り上げたことがあり、最初訪問したことについては「奈良ドリームランド」で、ローラーコースターの辺りを散歩したことについたは「廃墟ローラーコースター」で取り上げています。奈良ドリームランドから1キロ離れたところで暮らしてからちょうど1年 (2015-2016)が経ち、私が東京に戻るとすぐに取り壊しが始まりました。そのため、ちょっとしたエピローグを書いていくつかの思い出や写真を思い起こすべき時だと思いました。

2015年、私は東京を離れて正気を失ってしまうほどの仕事の世界から離れたいという衝動に駆られました。自分自身を見つめ直し、新鮮な空気を吸って、考える時間を作り、自分の抱えるプロジェクトを進めていきたいと思ったのです。同じ頃、数人の親友も同行して奈良から10キロのところにある天理大学に行こうと決めていました。そこで私は親友と一緒に大学に行くのはどうかと思ったのです。

奈良での1年

私は仕事を辞め、遊園地の近くにある奈良の中心地で他7名と家を借り、2015年9月から天理大学で日本語講座の受講を始めました。私のお気に入りの廃墟の一つがわずか1キロ先にあったのはまさに偶然でしたが、素晴らしい幸運でした。

私は車を手に入れ、ドローンを買って、そして授業もはじまりました。とある教授は神戸出身で、素晴らしい方でした。面白く、思いやりがあり、たわいのない話をして、クラス全体が楽しい時間を過ごしていました。私が出版されたばかりの自分の著書「Abandoned Japan」のコピーを教授に見せると、奈良ドリームランドはもちろんの事、摩耶観光ホテルも知っていました。「でも待って、観光客はそこから入れないのじゃないの？そして…幽霊⁉︎」

関西地区での新生活は夢のようでした。日中は語学の授業を受け、奈良を探検して奈良ドリームランドでドローンを飛ば（す練習を）し、日本語やフランス語（一方東京ではほとんど英語でした）でおしゃべりをしていました。そして夕方は料理をしたり、ハウスメイトと冗談を言い合っていました。私はハウスメイトたちをよく奈良ドリームランドに連れて行きました。

私たちは仲良くなり、定期的に奈良ドリームランドで会うようになりました。三十四さんはどんな天候のどんな季節のときもよく遊園地に足を運んでおり、あちこちよじ登ってすべての隠れた隅っこの写真を撮っています。

私は彼、他の友人、時には一人で遊園地に行って不定期に彼らと会い、そういう気分であればコーヒーやビールを一緒に飲みました。

私は本当にリラックスしており、遊園地で働いているはずの警備員のことを忘れていました。

奈良ドリームランドのオーナー、と警察

しかしある日、またしても遊園地の真ん中でドローンの操縦をして（そして集中し続けて）いた私に悪いことが起きました。

車が近づいてきていたため、私はやぶに逃げました。不運なことに、まだドローンが周りを飛んでおり下に降ろすところがありませんでした。早くドローンを降ろす場所を探そうとしましたが、遅かったのです。ドローンが着陸すると、警備員が私の背後に来て、動かないよう命令しました。

次にオーナーが古いメルセデスに乗って到着しました。私が気づくまでオーナーは思い切り怒鳴ってきました。彼のタバコによって詰まった肺が今にでも破裂するかのような印象でした。

オーナーは警察を呼ぶと2台のパトカーが次々到着しました。私はタイに移ったのでしょうか。はたまた中国に戻ったのでしょうか。

今にしてみると警察は大変寛大で、すぐに状況を打開してくれました。「あなたはどこから来たのですか」と聞いてきました。「ドローンの操縦を観光客や鹿の頭上ではないところで練習するためです」と私は答えました。警察は水田でドローンを操縦することを提案しましたが、水田は所有者が実際に大事にしている私有地であると私が主張する機会を与えてくれました。

警察は遊園地のオーナーに頭を下げて謝罪するように言い、私は体を追って土下座しました。自分がこんなに身が軽いとは思ってもいませんでした！この話はこのくらいにしておきましょう。

もちろん私の熱意は少し抑制されました。突然日本にある私有地の真ん中で4台の車（そのうち2台はパトカー）に囲まれるなんて！万事休すかと思いました。

奈良ドリームランドはその年の冬、非常に早く荒廃し始めました。行くたびに瓦礫を見つけ、アトラクションが崩れていくのを見つけました。

私は多くの人に愛された遊園地のために何かできないかと感じました。最終的には奈良を特別な場所、写真撮影にうってつけの場所、あるいは新たな経験ができる場所として宣伝できないかと感じました。

奈良ドリームランドのプロジェクト

私は共同プロジェクトをするため奈良市役所に行きました。もちろん特に奈良ドリームランドについてのプロジェクトをするために行ったのではありませんが、徐々にその話題を切り出すようになりました。

私は市役所の方々に自分のプロジェクトアイディアを共有しました。奈良ドリームランドを存続させるだけではなく採算が合うことはもちろんの事、できる限り多くの人に恩恵をもたらすような考えです。

そのアイディアでは、ガイドツアーを用意して観光客のグループを1日に1、2回連れて行くというものです。観光客をローラーコースターの上まで連れて行くのは明らかに論外ですが、この経験は非常に贅沢であり、たくさんの写真撮影をする機会があります。

安全な中、カメラを持って道沿いを散歩している自分を想像してみてください。幸せになりませんか？

このプロジェクトは関心を集めましたが、残念ながらその頃大阪にあるとある企業に私有地が買収されてしまいました。近いうちに奈良ドリームランドの跡地に住宅が建てられることもあって、市役所はこれ以上の議論は望んでいませんでした。

この悪い知らせと共に冬が訪れ、大学も休みに入りました。

冬、夢終わる

私は奈良ドリームランドに雪が降るのを首を長くして待っていましたが、ごくわずかにひらひら雪が降っただけでした。

大学では学期が始まりましたが、新しいクラスには私たちよりもなじんでいくたくさんのアジア人が入り、もはやお気に入りの先生もいなくなりました。私たち、特に天理大学から抜け出せない友人のやる気は落ちていきました。少なくとも、私は車で出かけることができました。

日本の田舎に住むことは素晴らしいことですが、残っているのは子供か高齢の人だけです。私はほとんどの時間をハウスメイトと過ごしましたが、彼らも時々入れ替わるので無情な状況に気がつき始めました。

しばらくすると、私は奈良ドリームランドをできるだけ満喫しようと思うようになりました。市役所によると、ありがたいことに取り壊しは2016年初頭から始まるということでした。

私は奈良ドリームランドにある偽かけの山の周りを走るローラーコースター沿いを歩けることを発見しました。ただ山の中に入り、乗り物の横にある階段を上るだけです。

あれから遊園地の中でドローンを飛ばすことはありませんでしたが、外にある駐車場から操縦しました。

この写真は奈良ドリームランドの最後の日々です。私は最後に一つだけ試しました。遊園地の元のオーナーで（悪あがきをして）ウォルト・ディズニーと交渉した人物は、妙なことに歌舞伎座の系列会社でした。私は娘が継承しているという旧企業に連絡をしました。

彼女の父が遊園地を作ったとき彼女は若く、そこで起こっていることすべてを知っておかなければならなかったようです。奈良ドリームランドについての彼女の知識の広さ、そして本に書いていある秘話は、すべての古顔に使える素晴らしいアイディアだと私は思いました。残念ながら、彼女は現在高齢で体調を悪くしています。どうしようもありません。