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樹海:青木ヶ原の物語

樹海:青木ヶ原の物語

「自殺の名所」として知られている青木ヶ原。でも、真の青木ヶ原は別の姿かもしれません。一面に広がる森に対して、野生動物の姿は見られません。まさしく「森閑」静けさ。ここにいると、自分を見失うは簡単でした。ますます好奇心に駆られれます。さあ、自分自身を見つけるためにも出発です。

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富士山の北西に広がる樹海。きっかけは平安初期の貞観大噴火と呼ばれる富士山の火山活動です。その時の溶岩地帯は、冷めると肥沃な地帯への変わり、以後1000年以上にわたり原生林(ただし伐採の痕跡あり)が形成されていきました。

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日本人なら誰でも知っている「樹海=自殺の名称」という構図。確かに青木ヶ原は、そのようなイメージがぴったりです。でも、何がそう感じさせるのでしょうか。

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スタート地点が分からなくのを避けるため、洞窟へと続く主要なコースで進みました。最初は何人かいた人たちも、先に行かれたのか、気付けばいませんでした。物音一つも聞こえない。虫の音も。そして、蒸し暑い。地表の下すぐに、まだ溶岩が流れているようでした。

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主要コースで見れる木々や洞窟は、まさしく森林浴を楽しむためのものでした。一方で、「自殺名所」という言葉は、頭から離れません。1994年に出版されたの完全自殺マニュアルや、松本成長の名著「波の塔」は、青木ヶ原のイメージを決めれたいったのでしょうか。

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完全自殺マニュアルは、自殺の方法を客観的に説明したものです。そして、青木ヶ原を死に場所に選ぶと言う考え方は、作者のみならず読者からも支持されました。波の塔は、既婚女性と若い検事の物語で、最後は女性が青木ヶ原で死を選びます。障害が多い中で純粋な愛を貫こうとする検事の姿が共感を読んだようです。影響は明らかで、この2冊は遺体の発見場所でよく置かれていたものでした。

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引き続き、道を進みます。途中別ルートの入口を通りかかりました。でも、まだ正式ルートにもなっていないよう。だってほら「立入禁止」と「防犯カメラ」のサイン。このぞイメージ通りの青木ヶ原!

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迷わず立入禁止ゾーンに侵入しました。そこでは森の巡回員が犬と共にパトロールをしてました。当然私たちに気づきました。でも、他に興味を引くものがあったのでしょうか。巡回員は別の所へ行ってしまいました。

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ポツリと置かれた自転車がありました。コースは、ここで終わっています。ここからが、本当の樹海の入口。しばらくすると、ビニルテープが2本結び付けられている木に気づきました。この2本のビニルテープは、冥界への行き道をしっかりと示しているようでした。

確かに樹海は、唯一無二の森林でした。原生林に覆われている光も風も薄暗い空間。そして、このビニルテープ。まるで親指トムが道に迷うのを避けるためのもののようですが、実際は、自殺を思い止まった人への帰宅路を示すものなのです。私たちは、このビニルテープを辿って行きました。最初は、歩きやすいところでした。ただ、静けさは更に深まっていき、そして、依然蒸し暑さは続きました。

引き続きビニルテープを辿っていくと、何本かのテープが交わった場所にたどり着きました。テープの色はさまさまで、違った方向に枝に結び付けられています。そこで、私たちは。今まで来た道とは違うビニルテープを選び、進みました。お互いに、目で確認し合いながら進みます。今度は、歩きにくい道となり、ただただ無言で進みました。

木の根が、岩が、落ち葉が蜘蛛の巣のように絡み合っています。木の根の下は空洞や穴あるかもしれません。非常につまずきやすい場所。気づいたら、足を取られ身動きができなくなっていたり、木の根に隠された穴に落ちていたということが起きそうな場所です。

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でも、このビニルテープは、まだまだ続き終わりがないようです。ここでは事は、行われなかったのでしょう。

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更に深く進めに連むと、目印ははっきりとしなくなってきました。親指トムのビニルテープに導かれてきても、途中からは疲れてくるのでしょう。樹海の深部には似つかわしくないものが転がっていました。

途切れ途切れになりながらもビニルテープは続きます。数メートルほどしか続かないところもあったり、木の幹にくくりつけられていたり、完全に切れていたり。ビニルテープを引いてきた人たちは、怖くなったり、躊躇したのでしょうか。彼らの気持ちは知る由もありません。ただちょっとした痕跡が残っている。実際、完全自殺マニュアルに魅了されて、青木ヶ原でキャンプをしにきた人もいました。人生について思慮するため、そして、最後について決断をするために。

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道はどんどん険しくなっていきました。今まで辿ってきたテープは終わりました。が、周りをみると、また別のビニルテープがありました。ただし、複数。引かれている方向もバラバラです。また別のテープを選び進見ました。終わると、また別のを選ぶ。この道がどこで終わるのか、また、他の道がどこから始まるのか。くたびれたビニルテープからは予測不可能でした。

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目ぼしい成果を見つけることなく3時間ほど歩き続けたあと、戻ることにしました。帰り道をどの道にするかで、意見は分かれましたが、子供時代に森でよく遊んでいましたので、直感を信じれば帰れると分かっていました。

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夕暮れにさしかって来たので、来た道を戻るのは難しいと思いました。友人は、遺体に遭わないかと怯えていました。もちろん、そのような経験をしたらトラウマになるでしょう。でも、その瞬間は訪れました。

Aokihagara - Dark forest

下記写真をご覧ください。最後の行為を遂げるために、用意された糸。まだ輪っかは残っており、横にはネクタイがありました。少し離れた場所に、同じものがありましたが、女性用のベルトが置かれていました。恋人たちでしょうか。それにしては少々離れすぎているような気がしました。この人たちは、あのビニルテープの方々でしょうか。知る術はありません。

帰り道、昔見た青木ヶ原のドキュメンタリーを思い出していました。先ほどのビニルテープのようなマークを残す人は、まだ躊躇があるそうです。戻った人たちもいました。どのように感じたのでしょうか。

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ようやく出口へ。見慣れた自動販売機でコーラを買いました。コインを入れると、これまたいつもの通り、自動販売機から缶が落ちてくる音。いつものコーラの味。途端に、いつもの世界に戻った気になりました。それにしても、コーラって、こんなに甘かったっけ?そんなことが可笑しく感じ、友達と笑いました。

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駐車場には長年放置されたと思われる車が一台ありました。車の窓からは、漫画、雑誌が見えました。どうやら数ヶ月前のもののようです。そんなことを確認してから、我が車へ。うん、この車は生きている。東京へ向けて、エンジンスタート!やっぱり生きているって素晴らしい!

深林については、美人林、追原の大楓もあります。同じような雰囲気を楽しまれたい場合は、華麗なる一族をどうぞ!

はじめまして

私は日本在住のフランスの写真家のJordy Meowと申します。私は日本に来たり日本に滞在する外国人のために、風変わりであまり有名でない場所の情報を見つけたりシェアしたいと思っています。私は書籍を出版したこともございますし、現在は綺麗なガイドブックのシリーズを新たに準備しているところです。