Exploring Gunkanjima: The eerie abandoned city in Nagasaki, Japan.
Exploring the eerie abandoned city of Gunkanjima in Nagasaki, Japan.

軍艦島:65号棟

サイバーテロリストの支配のもと、一艘の帆船が海の真ん中に浮かぶ廃墟の島に向かっている。

サイバーテロリストの支配のもと、一艘の帆船が海の真ん中に浮かぶ廃墟の島に向かっている。ジェームスボンドは静かにその島に降り立ちすぐに手錠をはめられた。そしてうなだれた様子で不気味な建物に向かっている・・・

僕は映画館の座席に息を止めて座っている・・・“65号棟!これは軍艦島の65号棟じゃないか!”、僕は叫びたい衝動にかられた。幸いにも口いっぱいに含んだポップコーンが飛び出すことはなかったけどね。

Glance...

65号棟は、廃拠化された軍艦島の“アイコン”的な建物なんだ。え?軍艦島が何か知らないって?それじゃぁまず、「軍艦島 : 冒険の旅」っていう概略記事を読んでみて:) さもなければ、僕が65号棟の冒険旅行に連れて行ってあげるよ。

65号棟ツアー

建物の正面は – ここはジェームスボンドがぶらぶらと歩いてたところでもある – 全然メインの玄関なんかじゃないんだ。それはただ単に子供達の遊び場で今でもいくつかの遊び道具なんかが転がっている中庭にすぎない。

Towards Block 65.

建物の北側はとても異なっている(でも、そうは断定しかねるかも)。ここのベランダの完成度は他と比べて格段に上がっていて、他のアパートにはみられない唯一の特徴なんだ(ここは公共住宅だよ)。こういう説がある。当初はここに大きなエレベーターを取り付ける予定だっだけれど、それが取り付けられることはなかった。その後、皆が利用できる便利なエントランスとなった。その場所は病院の真正面にあって、そのすぐ左後ろ側には学校がある。この建物には渡り廊下がついていてそこを通り抜けてその学校まで行くこともできた(まぁそもそもそこは通らないほうがいいけどね)。

North Side.

65号棟、そこは9階建てでコの字型をしている、まるで爆弾が落とされた軍事施設みたいなコンクリート建築だ。まぁ、そんな雰囲気なんだ。建物は文字通り断片的に崩れかけていて、ゆっくりとね、でも必ずいつか全部崩れちゃうんだろうな。以前はコンクリートをつくるのに周囲の海水を使えてとても便利だったけれど、歳月により周囲の湿気による塩化が全ての建物の骨組を腐敗させてしまっっている。鉄筋部分なんてちょっと触っただけでボロボロと崩れてしまうんだ。

James Bond was here! Almost.

もっと近くで見てみることにしよう、ある部分に関してははかなり状態が良いように見える。実は左側(北側)の7階までは1945年に建てられた。この時はまだ第二次世界大戦中で、日本では唯一戦時中に建設された建物なんだ!そのためその建物につけられた別名、それは・・・“報国寮”だ。

1947年、さらにその上に2階増設された。1949年には、中央部分(東側)が建てられた。最終的に1953年に10階部分がさらに増設され(保育園のような場所だ、上に白い建物が見えるだろ?)、右側(南側)の全てがくっついた。10年近く北側と南側の建物は離れていたが、ついに見事に新しく生まれ変わった、そして、“新65号棟”と呼ばれた。その上、水洗トイレも作られたんだ!はっきりと上の写真上で建設の出来具合が違うのが見受けられるでしょ。

Grandiose Decay.

驚くことに、木製のベランダは何年もの歳月、厳しい天候、ここを探検しに来る者だっているのにそういったものに耐えてまだしっかり残っているんだ。完全に壊れ落ちてしまっているものもあるなか、元のまま残っている部分だってあるんだ。

1993年に取り壊された香港の驚嘆すべき九龍城砦を彷彿とさせられる。まだベランダに色とりどりの洗濯物が掛かっていて生活感のある場所を想像しちゃうよ。

Decay Close-Up.

この悪夢のような場所を歩いていると、そんな中でも実は小さな幸せをみつけることができるんだ。それはね、例えば廃墟特有の静けさだったり、クレイジーすぎる建築の大きさだったり、海からの湿った匂いや風の音なんかがね。

Foliage & Ruins.

よし、十分夢を見させてもらったよ。時間は限られている!だから急いで17平方キロメートルもある内部を探検するよ。

65号棟の内部

65号棟には317ものアパートがある、だからそれなりに面白そうなものを見つける為には残念なことにそれぞれの部屋を急いでチラ見するぐらいしかできないんだ。アパートは、全部殆ど似かよっていて同じような広さとどのアパートにも割と状態のよい畳の部屋がある。畳の部屋は他の廃拠で見られるそれと比べて本当に状態がいいんだ。

First floor.

階段への迂回通路には、京楽製の古いパチンコが置いてある。それはとてもシンプルなもので、現代のパチンコ店でみられるそれと比べるとちょっと小さめかな。たった今、僕の新しい夢が浮かんだ。それはね、こういった古いパチンコが沢山並べられた廃墟を見つけることだ!でも当時のパチンコ店は現代のものに比べるとかなり小さかっただろうな。

Gunkanjima's Pachinko Machine.

近くにある部屋を覘いてみよう…

Hashima Style Entrance.

階段を上ると・・・

Block 65 Stairs

軍艦島の65号棟の特徴は、数え切れない程のオブジェを見つけることができることなんだ。軍艦島に存在する他の建物内は実際ここと比べてもっとモノが少ない。でもどうして?不思議だけどもっともらしい二つの説を考えてみたよ。ひとつは、廃拠になる直前まで人が住んでいたってこと(最後の住人はたぶんすぐに退去しなきゃならなかったに違いない)。もうひとつの説は、ここの住人は他の建物の住人よりも裕福で使い古したモノはすべてここに置いていく事にしたという説。

Abandoned Fridge.

この上の写真はNational製の冷蔵庫だ(現在のパナソニック)。この島は100%三菱製品が使用されてたわけではない。

1st Floor Room.

ここには、セイコー製の壁掛け時計の隣に“High Look Console”なんてものがあった(でも一体これ何?)、時計は東京の銀座にある和光ビルの上の方にあるものととてもよく似ている。しかもそれはまだ動くんだ!・・・って、もちろん銀座の和光の時計のことだけどね;)

The Death Clock.

これはこの島でよく見かけるビンテージテレビのうちのひとつだ。たぶんみんな知らないと思うんだけど、日本では年に一度公共放送のNHK職員が家にやってきて受信料を徴収するんだ。当然ながらそんなの誰も払いたくないから、彼らはけっこうしつこく訪問してくるし、なんだかんだ理論づけて支払わせようとするんだ(でも、1Q84で見られるような偽者収税官もいるから気をつけないとね!)。僕は日本語を喋らないし、NHKも見ない、でもテレビはあるから支払わなくちゃいけない義務がある。外国人は滞納しているケースが多いんだ(いずれにしても収税官は支払いをそんなに強要することはできないんだ)。日本では、100万人以上の人が支払ってないんだよ。

そこで僕は考えた。軍艦島には収税官はどうやって来ていたのか?島民もNHK受信料を支払わなきゃいけなかったのか?NHKの収税官が島に来てそれぞれの家を訪問してたのか?でもおそらく三菱がすべて負担していたんじゃないかな。

NHK 1974.

この島でよく見かけるモノ、それはミシンだ。もちそんそれらは100%三菱製でものすごく年代モノだ!

Mitsubishi Sewing Machine.

三菱・・・

El Diablo Mitsubishi.

古い二層式洗濯機。でも二層式ってなんだ?一般的に洗濯機は上部か正面に設定機能ボタンがついている。でもここにある二層式洗濯機はそれとはちょっと異なるものだ。垂直にふたつの別々の水槽が並んでおり、操作部分はその上についているんだ。ひとつの水槽は洗濯用、そしてもうひとつは乾燥用(脱水用)だ。もちろん水が黒くなるまで何度も同じ水を使えるっていうメリットもあるけどさ・・・で、別の水槽で脱水ってわけ。軍艦島では水の節約が重要だったのかも!

Ruined Washing Machine.

軍艦島のアパートは、あまりプライバシーがない。ベランダからご近所さんたちの視線を感じてしまうような造りになってる!しかしながら、学校の規模からみると沢山の子供がいたとおもわれる。1947年から1949年にかけては日本での一家庭での出生率が4.32人のベビーブームの時代だったからね。国としてはまたベビーブーム(奇跡)が起こることを期待しているんだけどさ。

Top-Floor Apartment.

これはポロンちゃん。今でも売られているおきあがり人形だ。

Poron-chan.

さてここの締めくくりとして、この島内にまだ残ってるとっても珍しい電話だよ。

Hashima Phone.

屋根の上

病院のプラスチック製マネキンがどこを通ってきたのか考えてみた、おお、ここだったんだ!誰かがしがない理由のためにわざわざココまで運んできたんだな。

It Moved Again!

今僕達は、屋上にある小屋内にいる。そこは、保育園もしくは幼稚園だった思われるけれど、その形跡は特に見られない。奥の左方向にお風呂場のようなものがある。温泉とかじゃないな、ここは魚の為の池だったっぽい。

Top-Floor Onsen.

どうしてこんな高いところに子供達を遊ばせていられたのかって疑問に思う。当時、安全面はもっとしっかり管理されていただろうけれど、それにしてもどうなんだろう。

Balcony Of Hell.

どうか地震が起きませんように・・・

Looking-Down.

この最上階で唯一残ってるものっていったらこの滑り台だ。プールのお隣にほぼ原型のまま残っている。

Block 65 Rooftop.

最後に僕がずっと軍艦島で行ってみたかった場所があるんだ。それはね、床屋なんだ!何枚か写真で見たことがあるんだけれど、その床屋はいつも薄暗くて全然小奇麗じゃないんだ。自分の目で確かめてこなくちゃ。

65号棟の床屋

その床屋は65号棟の地下にある。そこはドライヤーや専用のふかふかした椅子なんかもあってちゃんとしたサロンになっている。嗚呼でもなんて雰囲気なんだ。

Gunkanjima Hairdresser.

北朝鮮で見たことのある床屋のメニューを思い出す(それについてはここで紹介している写真で探してね)。この床屋サロンの客達はおそらくそれときっと同じようなものをオーダーしていたんだろうな:)

Hairdresser Salon.

この床屋サロンは廃拠ファンにあまり知られていない。たぶんそこでいい写真を撮るのはとっても難しいからだ。いい写真を撮るためにはけっこうそこに長くいないとダメなのかも?あるいはもしかしたらこの場所を見つけるのがたやすくないからか?どっちにしても、ここは65号棟の中で僕の最もお気に入りの場所になった。

Hairdresser Chair.

この場所はワクワクしないかい!?!

HASHIMA HDR.

さてこれで65号棟の探検はおしまい。気に入ってくれたかな?今から軍艦島のほかのアパートを見に行くよ、こことは全然雰囲気とかスタイルが違っているんだ・・・まあ、見てみてね。

最後にちょっとした補足ね(このあんまり出来のよくない上のHDR合成写真を見て)。ダニエル・クレイグはこの島に一歩も足を踏み入れていない。Skyfallの廃拠島はただ単に65号棟のかたちをオクテットに積み重ねた3D映像なんだよ・・・

軍艦島についてもっと知りたい方は、是非私たちの他の記事軍艦島探求を読んでもらいたい。(^_^) 来てくれてありがとう!

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commentaires

  • ”High Look Console”ってのは、コンソールタイプのカラーテレビの一部だと思う。

    調べてみたけど、どこのメーカーかわからなかった。
    でも、似たのは見つけたよ。

はじめまして

Jordy Meow

私は日本在住のフランスの写真家のJordy Meowと申します。私は日本に来たり日本に滞在する外国人のために、風変わりであまり有名でない場所の情報を見つけたりシェアしたいと思っています。私は書籍を出版したこともございますし、現在は綺麗なガイドブックのシリーズを新たに準備しているところです。